いきなりですが、先日は野球ファンなら知らない人がいない方と食事をする機会を得ました。
昨年末にいったんユニフォームを脱がれたこともあり、講演会をされる機会も増え、今回は長野市で開催された講演会の後、久しぶりに食事をご一緒することになったのです。
この方は、昨年まであるNPB球団のファーム監督を務めており、野球指導に科学的要素をふんだんに取り入れるなど、これからの野球界や子どもたちのために、我々が経験してきた(良いところもあった)「昭和の野球」からの脱皮を、長年にわたり唱え、実践してこられました。
食事では、もちろん野球の話に花が咲きます。
その中で、笑いの中にも「なるほどー」と唸らされるお話を聞かせていただいたのです。
この方は、プロ野球選手として恵まれた体格というわけではありませんでした。
また、今やプロの投手であれば150㎞を超えるストレートを投げるのが当たり前の世界ですが、そこまで威力のあるストレートを持っていたわけでもありません。
そこでこの方が考えたのは、「いかにアウトを取るか」という一点だったそうです。
いかに打たれないか。
いかに打者のタイミングを外すか。
いかに野手の正面に打球を飛ばさせるか。
これだけを考えていたそうです。
やがて指導者という立場になりました。
プロ野球の世界には専門の打撃投手(以下、BP)がいるため、指導者がBPを務めることは多くありませんが、ファームでは事情が異なります。
そこでこの方も、若い選手に対してBPを務めることがあったそうです。
とりわけ、現役を引退したとはいえ、プロ通算173勝を挙げた投手です。
若い選手にとっては、この上ない経験となります。
ただ、BPの信条は、打者に打ちやすいボールを投げることです。
ところが、この方はここで「職業病」が出てしまったそうです。
打ちやすいボールを投げようとするのに、リリースの瞬間、無意識に指に力が入ってしまう。
中指に力が入ればアウトローへ、人差し指に力が入ればインハイへ。
自分では打ちやすいボールを投げているつもりでも、体が「アウトを取る」感覚を覚えており、無意識に「打たれない」「タイミングを外す」ボールになってしまうのだそうです。
これ、かなり深い「職業病」だと思いませんか。
その方とは、あの「#18 桑田真澄」
「打たせたい なのに中指が 勝ちにいく」
実に深いお話でした。
以上です。
