いきなりですが、過日、長野駅前で迎えの車を待っていました。
そこは、長野市で最も人の行き交う駅前の交差点付近です。
車を待ちながら、ガムを噛んでいたのですが、用を終えたガムをティッシュに包み、あとで捨てようとポケットに入れたつもりでいたのです。
そのときでした。私の目の前に現れたのは、厚底の靴を履き、内側だけを白銀に染めた髪に、やや派手めの化粧の・・・、言えばまさにZ世代を象徴するような若い女性。
彼女はおそらく、近くのカラオケ店でキャッチのアルバイトをしていると思われました。
その彼女が私に向かって一言、「落ちましたよ」と。
そうなんです。ポケットに入れたとばかり思っていたガムのごみが、実は道路に落ちていたのです。
驚いたのは、その後の彼女の行動です。
ただ「落ちましたよ」と言うだけでなく、わざわざしゃがんでそのガムごみを拾い上げ、私に手渡してくれたのです。
とても恥ずかしかったですが、「あっ、ごめん」「ありがとう」と私。
彼女は、きっと毎日この交差点に立ち、頑張ってバイトをしているのでしょう。いわば、彼女にとってこの場所は“神聖な職場”です。そんな場所におじさんがガムのごみを捨てたのが、許せなかったのかもしれません。
それでも彼女は、「ゴミ捨ててんじゃねーよ!」とは言わず、わざわざ拾って「落ちましたよ」と。
彼女は、私のガムごみを見逃しませんでした。そして、毅然と正しいことを教えてくれました。
彼女の行動に感動すると同時に、「落ちましたよ」といってガムごみを拾い上げ私に手渡したことに込められた深いメッセージを重く受け止めました。
おじさんのガムは、わざと「捨てたもんじゃなく」、Z世代もまた、とても立派でそれこそ「捨てたもんじゃない」というお話しです。
失礼しました。
以上です。