いきなりですが、最近の中東情勢を見ながら、住宅建築に携わる者として、とても気になっていることがあります。
というのも、エネルギー供給不安による「資材価格の高騰」も深刻ですが、それ以上に懸念されるのが、「資材そのものが入ってこなくなる」というリスクです。
住宅建築は、木材、断熱材、防水材、塗料、電線、給湯器など、多くの資材が世界物流と石油化学製品に支えられています。
特に断熱材や防水材、樹脂製品などは原油価格の影響を強く受けます。
仮にホルムズ海峡周辺の緊張がさらに高まり、原油価格上昇や物流停滞が長期化すれば、「ウッドショック」や「給湯器不足」のような状況が再び起きる可能性があります。いや、一部の分野では既に始まっています。
実際、2021年のウッドショックでは、木材価格が一時2倍近くまで上昇し、全国で着工遅延が発生しました。給湯器不足の際には、「家は完成しているのに引き渡せない」という異常事態も起きました。
特に心配なのが、一つのボリュームゾーンといわれている、年商おおよそ2〜5億円前後の地域工務店です。
この規模の会社は、年間10〜20棟程度を丁寧に施工し、地域の雇用や技能を支えています。しかし一方で、大量在庫を持つ体力はなく、契約後に資機材供給が止まれば、一気に資金繰りが悪化します。
例えば、3,000万円の住宅を10棟抱える工務店なら、契約総額は3億円です。しかし、断熱材や設備機器不足の影響で工期が半年延びれば、施主からの入金は止まってしまいます。しかし一方で、社員給与、協力業者への支払い、借入金がある場合はその返済も続きます。
「受注が無い」のではありません。
「受注はあるが、世界情勢で施工できない」のです。
そこで、こうしたケースについては、コロナ禍で行われた実質無利子・無担保、いわゆる「ゼロゼロ融資」に近い制度を、政府が早急に準備すべきだと思っています。
対象は、請負契約済みで、施主が工期延長を了承している案件に限定してもいいと思っています。
限定することによって、仮に、「受注しても施工ができなければ意味がない」と萎えている営業現場においても、「契約をいただければ何とかなる」と前を向くことができます。
要は、「将来完成し、入金される可能性が高い契約(物件)」を引当として、つなぎ資金を供給する仕組みです。
地域工務店が倒れれば、その影響は大工さん、電気屋さん、設備屋さん、建材店さんをはじめ多くの業者さんがダメージを受け、地域経済全体に波及します。
地方において工務店は、単なる住宅会社ではありません。
地域の技能と雇用を守る「生活インフラ」でもあります。
また、地域工務店が止まるということは、住宅供給そのものが止まってしまうということでもあります。
残念ながら、戦争も物流も、一会社では止めることはできません。
もちろん、これは地域工務店に限ったことではなく、あらゆる業種や会社に及びます。
現実味を帯び始めている「供給停止型不況」に対し、国には一日も早い経済対策の立案と実行を強く望みます。
現場からは以上です。
