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深く、重く(A子さんの巻) 2026.6.22

 いきなりですが、先週末は佐久市にあるグループ会社、田中住建のA子さんの送別会に参加してきました。

 A子さんが田中住建に入社したのは1972年。
 ちょうど田中角栄元首相が「日本列島改造論」を掲げ、日本中が活気にあふれていた時代です。

 当時は今のような時代ではありません。
 特に地方では、お兄さんや親御さんから「ここで働け」と言われれば、それに従うことが当たり前の時代。

 おそらくA子さんも、そこに選択の余地はなく、お兄さんが経営する田中住建に入社されたのだと思います。

 以来、54年間。
 嬉しい時も悲しい時も、順風満帆な時も苦しい時も、A子さんは会社に寄り添い続けてくれました。

 私がA子さんをはじめてお見掛けしたのは、今から5年近く前になるでしょうか。
 4年前に、田中住建の住宅事業部門を当グループに迎えたので、その1年ほど前だったと思います。

 事業譲渡前調査のために、初めて田中住建に行ったときのことです。
 事務所の中に、ある女性がいました。
 華奢な体型なのに不思議な存在感がありました。
 姿勢が良く、凛としていて、どこか品格と雰囲気を感じる方でした。

 その方がA子さんでした。
 そして現社長の叔母さんにあたる方だと知り、妙に納得したことを覚えています。

 ここで、ちょっと照れるのですが、私はグループ会社である田中住建を愛しています。

 しかしです。
 A子さんの田中住建への思いの深さと重さには、残念ながら、まだ及ばないと感じます。

 54年です。
 会社が人生であり、人生が会社だったのです。

 送別会の中では、初めて二人だけでお話する機会がありました。
 私は以前から気になっていたことをA子さんに聞いてみました。

 「A子さん、田中住建がうちのグループになった時、かなり複雑じゃなかったですか?」

 ところがA子さんは、その時の気持ちを語ることはありませんでした。

 代わりに静かに、
 「会長、私はとにかく安心しました」
 そして、
 「どうか、K君をよろしくお願いします」と。

 胸が詰まりました。
 その言葉で、A子さんの思いのすべてが伝わってきました。

 私自身も、ほんの少しだけあった、心のもやもやが晴れた気がして、報われました。

 A子さん。
 54年間、本当にお疲れさまでした。
 そして、ありがとうございました。

 以上です。

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