いきなりですが、先日、十数年ぶりにあるお店に行ってきました。
長野駅前にある中華料理屋さんです。
ここは長野市における本格中華の草分け的存在で、私が物心ついた頃にはすでにありましたから、その歴史は半世紀以上になるはずです。
遥か昔、多分小学4年生だったと思います。
その日、父親から初めて硬式用の野球グラブを買ってもらいました。
すると父親が「おい、焼きそば食べてくぞ」と。
私、父親と二人で外食するのは多分初めてだったはずで、昭和の厳格親父を絵に描いたような人でしたから、正直、二人きりでごはんを食べるのは緊張もするし、あまり乗り気ではありませんでしたが、断ることもできず、「うん」と頷きながら連れて行ってもらったのがこのお店でした。
その時、父親が「ビールと五目あんかけ焼きそばを二人分、それと焼売を二人前お願いします」と注文したのを、今でもはっきりと覚えています。
というのも、当時の私にとって焼きそばと言えば、キャベツと豚肉と麺を炒めたソース味のそれ。
しかし、この時初めて食べた「あんかけ焼きそば」の衝撃。
こんなに美味しいものが、この世にあるのかと思ったのです。
そして焼売です。
これも生まれて初めて食べたと思うのですが、あまりにも美味しくて、飛び上がりそうになりました。
初めて硬式用のグラブを買ってもらい、初めて父親と二人きりで食事をし、初めてあんかけ焼きそばを食べ、さらに初めて焼売を食べたこの日は、一生忘れられない日となりました。
で、先日、仲間と早い時間から飲んでいたのですが、帰り際に「軽く締めよう」(軽くないけど)という話になり、近くだったこともあり、それこそ十数年ぶりにこの店に入ったのです。
店の佇まいは、あの頃と変わっていません。
父とのあの日の記憶が、ふっと蘇ります。
まずは焼売を注文。
久しぶりに食べたそれは、安定の味でした。
で、普通ならここで「あんかけ焼きそば」を注文すべきところですが、私は迷った挙句、「豚肉の細切りあんかけ汁そば」を注文してしまいました。
店の入り口までは、父と二人で食べたあの日の空気に浸っていたのに・・・不届き者です。
「亡き親父 空の上から おいそれかい!!」
お父さん、ごめんなさい。
失礼しました。
以上です。
