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スープとメンマとチャーシューと・・・ 2025.6.2

 いきなりですが、知らなかったのです。

 とてもショックでした。

 というのも、すでに30年以上通っていたラーメン屋さんが、いつの間にか閉店していたんです。 
 年に数回しか行けなかったのですが、私の中では間違いなく“世界一うまいラーメン”でした。

 このラーメン屋さん、お客さんが入ってきても「いらっしゃいませ」の一言もありません。
 注文しても無言です。
 夜遅くに入ってビールを頼むと、嫌な顔をされたこともあります。
 水はもちろんセルフ。
 その日、レンゲが置かれていなければ、余計なことは言わず、黙って諦めた方が身のためでした。

 しかし、です。

 ラーメンが運ばれてきて、そのスープをひと口飲めば、それですべてが赦されました。

 昔ながらのやさしい味の中華そばで、チャーシューは口に入れた瞬間、噛む前にホロリと崩れ、スープと一緒に舌の上でとろけていくような、私の大好きなタイプ。 
 大好物のメンマも、これまた私好みのシャキシャキ系で、どれもこれも私にとっては文句なしの一杯でした。

 で、先日のことです。

 このラーメン屋さんは夜しか営業していなかったのですが、昼間、仕事で久しぶりに店の前を通りかかったのです。

 思わず私は、「あっ!」「と◯き◯だ!」「あ〜、ここのラーメン、無性に食べたくなった!」と話したのです。  
 すると、一緒にいた彼が言いました。

 「えっ?」「知らないんですか?」「と◯き◯は、年末に閉店したんですよ」 
 「ウソでしょ!!」

 ということで、とてもショックだったのです。

 いつのことだったか、多分10年ほど前だったでしょうか。 
 その日は店がすごく混んでいて、私は友人と真っ赤なテーブルのカウンター席に座っていました。
 そこにおじいさんが1人で入ってきたのですが、あいにく満席。

 でも、見ると私と友人が少しレジ寄りにズレれば、1人分は座れそう。
 ちょうど予備のイスもあったので、「大丈夫、ズレたら1人座れますよ」と声をかけました。

 おじいさんは恐縮しながら、カウンターに腰を下ろしました。

 そして、いつもいる「接客ほぼ皆無」の、おあいそ専門のおばちゃんにお金を払い、店を出ようとしたそのときです。

 店の親父が、小さな声で「ありがとうございました」と。

 「えっ?」と、友人と顔を見合わせてしまいました。

 そのとき、通って20年目くらいでしたが、親父の声を聞いたのは初めてでした。

 いやー、驚きました。

 ただ、次に行ったときは、いつもの無言接客に戻っていて、かえって安心したことを覚えています(笑)。

 それにしても、あのスープとメンマとチャーシューを、もう二度と食べられないと思うと、悲しみさえこみ上げてきます。

 「味だけが 接客してた ラーメン屋」

 感謝の一句、失礼しました。

 ほんと、長い間ありがとうございました。

 以上です。

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